「実は私も、そのことを意識し、そういう研究をしていたわけです。
次にそこに進まない限りは、ただの批判、ただの問題提起で終わってしまうではないか、と思っていましたから。
そこで次にやったことは、中央で行われた教育改革が教育現場にどう降りてくるのか、『R座』2002年1月号に書いた『現地リポート県教委は〔生きる力〕をこう読み替えた』がそのひとつです。
X県の調査です。
なぜやらなければいけなかったかというと、やはり、
上が言ったことに忠実に。
下が従うのか、教育改革の実態を見ようとすれば、中央と地方の関係を見ざるを得ない。
ところが、両者の関係はそれほど単純ではない。
間にいろいろな介在するものがあって、その中で誤解も生ずれば、行き過ぎも生まれる。
そういう屈折を経ることによって、教育改革は、思ってもいなかった問題を起こしたり、政策の意図からはずれていったり、あるいは、形骸化したりしていきます。
行き過ぎも、足りな過ぎも起きる。
そこにメスを入れないことには、議論はまた地に足をツケない空中戦に戻ってしまう。
しかも、M科省の言うとおりでなくても、うまく改革を進めている地域もある。
そういうケースから何かを学べるわけだから、取り出して議論する。
そういう意味で、次につながる研究をしたかったのです」Tさんとしても考えるところがあっただろうと思います。
この年、KTさんの言動で驚いたことかあります。
11月号の『S』でS藤学さんと共同の論文(S藤学.K谷剛彦.1上岳彦「21世紀のマニフェスト教育改革の処方簾」)を発表されたことです。
なぜかと言えば、私はその時点ではKTさんにいちばん近い人はW田さんだと思っていたからです。
S藤学さんというのはW田さんの対極にある人で、KTさんから見ても反対側の陣営の人だろうと思っていたのですが違いますか。
彼は子ども中心主義の立場の人で、総合的学習を推し進めてきましたよね。
「S藤さんの議論はちょっと複雑で、それほど単純ではない。
彼は、総合学習的なものを認めてはいますが、単純に子ども中心主義で行けばいいと言っているわけではない、と私は理解しています。
それに、私自身は、子ども中心主義に賛成か反対かという対立軸を持っているわけではない。
たしかに、思想的な弱さもあるし、とくに、どんな子どもも学ぶ意欲を持っているとか、誰もがすぐれた個性の持ち主だといった、『強い個人の仮説』に立っている点は問題です。
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